
前回はオブジェクトを絞り込んで選択する機能として、クイック選択を紹介しました。
様々な条件を入れ込んでいって、その条件に見合ったオブジェクトを選択する、という便利な機能でした。
この機能は別にTipsという感じではなく、ごく普通の便利な機能だという気もしますが……
まあ便利な機能ではあるので、書いておいても良いかな。
正直言って、私が知っているオートキャド(AutoCAD)の使い方で、どれがTipsなのかの区分に自信はありません。
オートキャド(AutoCAD)に詳しくなればなる程、大抵のコマンドは当たり前の存在になってくるもの。
その存在を小技と意識する事がなくなるので、どの機能を紹介するかが悩ましいところです。
クイック選択と並んで、結構便利なオブジェクトの絞り込み選択機能である「FILTER」コマンド。
今回はそのFILTERコマンドを紹介しますが、こちらはあまり有名じゃない分だけ、Tipsに近いかも知れません。
■FILTERコマンド
クイック選択よりも昔、オートキャド(AutoCAD)2000の時代から、オブジェクト絞り込み選択機能は存在しました。
それが今回紹介する「FILTER」コマンドですが、どういう訳か、初期設定ではキーボードからの入力でしか実行出来なくなっています。
だからあまり有名なコマンドではないんじゃないかな。
なぜツールバーとかに入れないのかを考えていくと、そのうちに廃止になる機能だからなのかも、とか心配になりますが。
ということで、初期設定の場合、このFILTERコマンドはコマンドラインにそのまま入力して使います。
また、コマンドを実行している途中の、オブジェクトを選択している途中で使うこともあるはずです。
その場合は「割り込みコマンド」として使う事になります。
今回はそんな、割り込みコマンドでFITERを実行する場合を、具体的な流れで説明してみたいと思います。
■具体例と割り込みコマンド
まず、オートキャド(AutoCAD)で作図した、以下のような平面図があったとします。
この図面の中で、例えば寸法線だけを消してしまいたい場合は、FILTERコマンドが便利です。
まずは削除コマンド(ERASE)を実行すると、削除するオブジェクトはどれなのかを指定する状態になります。
オブジェクトを選択:
この状態で、画面上をクリックするのではなく、そのまま「’FILTER」と入力してEnterを押します。
最初に入力する「’」は「Shift+7」で出る文字です。
コマンドの頭にこの記号を付けると、オートキャド(AutoCAD)は割り込みコマンドとして処理してくれます。
割り込みコマンドというのは、あるコマンドを実行中に、そのコマンドを終了させないまま、別のコマンドを割り込ませること。
今回の例で言えば、ERASEコマンドを実行中に、FILTERコマンドを割り込ませるという感じ。
だから、FILTERコマンドの頭に「’」を付けたんです。
この割り込み記号は幾つかのシーンで重宝しますから、覚えておくと操作の巾が拡がると思います。
ちょっと長くなってしまったので、FILTERコマンドの具体的な使い方は次回に続きます。